解体工事、足場設置工事の運営から、今では飛散防止養生工法「Cage system」など現場の安全を守る商品の開発まで手掛ける株式会社TOBHIRIO。現場での組立てや解体作業員として4名のベトナム人材を活用しています。今回は、小林社長に外国人材受け入れ時に苦労したことや今後の展望についてお伺いしました。人手不足を補ってくれる特定技能外国人には本当に助けてもらっている特定技能外国人を受け入れたきっかけを教えてください。小林社長:きっかけは、人手不足です。2024年問題なんて言われる前から、募集を出しても日本人が来ない状況でした。それで、他社で技能実習を満了して、特定技能で転職を希望されていた方を3名採用しました。また、弊社で技能実習を満了した方が1名、特定技能に切り替えてそのまま働いてくれています。現在、4名の特定技能外国人材を雇用されているのですね。実際に受け入れてみていかがですか?小林社長:仕事ぶりはやっぱり人それぞれですよ。ベトナム人だからみんな良いっていうことはもちろんなくて、おのおの得意不得意もありますしね。その辺は日本人と同じです。失礼な言い方になっちゃいますけど、他社さんで3年間の技能実習を経験している人材でも、「何を覚えてきたのかな」と思うことはありますね。話を聞くと、日本人とほとんど会話せず、ゴミ拾いや雑作業だけだったというケースもあって。これは人材の問題というより、企業側の問題ですよね。本人の能力云々というよりも、どういう環境で育ってきたかによって、差が出てしまう。ただ、うちに来てからは、一生懸命仕事に取り組んでくれているので、不平不満とかはないです。それにやっぱり人手が足りないところをフォローしてくれるのでね、本当に助かるんですよ。基本的に仕事をしっかりやってくれる方を採用できているとのことですが、採用時はどのようなことに注意されていますか?小林社長:私は面接しないようにしています。私が口を出すより現場は現場の人間がまとめた方が良いと思っているので。工事部長に任せて、私は内定が決まってから会っています。そもそも、技能レベルは面接だけでは分からないんですよね。実技試験みたいなのを実際に現場でやれたら別ですが。ただ、繰り返しになりますが、一生懸命頑張る人材を採用できているので、今の面接プロセスは間違っていないと思います。最初の技能実習生の時も私は面接に行っていなくて、もともとアフリカで3年くらい仕事をしていた人生経験豊富な人間に任せていたました。それで良い人材が入ってきてくれたという成功体験も大きいですね。全体的に受け入れに成功されているという印象を受けましたが、苦労されたことはありますか?小林社長:技能実習生の場合、現場入場のハードルが高いですね。入場までに面接や書類提出などいろいろ課されたり、そもそも禁止されていたりします。そうすると、なかなか活用が難しくなってきます。特定技能では少し緩和された印象がありますが、それでも書類準備は負担です。うちの場合、現場作業が短くて、組み立てで1ヶ月、解体だと半月くらいなんです。短いと3~4日しかいないのに、そのために1週間かけて書類を作らないといけないんです。ただ、そういった事務面での苦労よりも、人手不足を解消してくれるメリットを強く感じています。評価は能力で。外国人材だからといって特別扱いはしない。外国人材の受け入れに際し、意識されていることはありますか?小林社長:「日本人だろうが外国人だろうが一緒」というのが大前提ですね。 他の建設会社さんで奴隷のように扱っているのとかも見ているので、そういうことは絶対ないようにしています。自分が外国に行った時にね、日本人だからって差別的に扱われたら嫌じゃないですか。だからそれはやらない。単純な話ですね。給与や評価制度も全部日本人と同じ。能力が高ければ評価や給与も上がる、というそれだけです。ここも現場に関しては、最初の評価は現場の人間がしています。業務以外の生活面ではいかがですか?小林社長:生活面でのサポートについては、必要に応じて対応しています。例えば、賃貸物件でベトナム人が集まってパーティーを開いて、不動産業者から騒音で注意を受けたことがありました。その時は、文化の違いを説明しながら、日本の生活ルールをきちんと伝えました。こうしたサポートを通じて、地域に馴染んでもらえるようにはしています。ただし、基本的には「仕事はきっちり、プライベートは自由」というスタンスで接していますね。弊社のような登録支援機関に求めることを教えてください。小林社長:人材との面談をこまめにしてもらえるとありがたいですね。彼らが困っていることをヒアリングしてフィードバックしてほしいです。あと、業務に関する資格取得のための講習に行く際に通訳サポートをしてもらえると助かります。うちは、結構、資格取得を推奨しているので。今、登録支援機関さんからの電話営業多いですが、積極的に営業してくる会社ってなんか信頼できなくて。しっかりと実績があって質の高いサービスを提供してくれる会社さんであれば紹介や問い合わせとかでお客さんが増えてくるはずですから。リフトさんにお支払いする金額がもう少し安ければな、とは思いますが、他の信頼できない会社に切り替えるつもりはないです笑。最後に、今後、外国人材を活用してどのような組織をつくっていきたいですか?小林社長:まず人材には、できれば特定技能2号を取ってもらって、 うちの会社で長く活躍してほしいです。あと、私の目標として、 年俸1,000万円の職人を弊社から出したいと思っています。今、職人で1,000万超えるような人ってほぼいません。昨今、解体工事の業界はダンピングがきつくて、受注したところで赤字みたいな案件が多いんです。解体工事を続けているだけでは、本当に苦しくて、うちも私の報酬を下げたりしていましたから。そんな請負単価自体が低い環境で1,000万円プレイヤーなんて夢のまた夢ですよね。そこを変えたいんです。だから、解体工事だけを請け負う会社からの脱皮を図る必要があると思って、「Cage System」のような商品を開発しました。他にも現場の安全や作業効率性を高めるような商品開発をしていて、3つほど特許も取得しています。それらが売れるようになってくれば1,000万円プレイヤーを生み出すことにも近づくと考えています。もちろん、外国人材にも等しくチャンスは開かれています。1,000万円プレイヤーが実現すれば、国籍を問わず多くの人が働きたいと思える職場になるでしょう。そのような魅力ある組織をつくっていきたいですね。