「まだ見ぬお客さまと業界の発展のために」をスローガンに掲げ、都内で革新的なラーメン店を運営する株式会社ソラノイロ。9年前に留学生アルバイト受け入れを開始してから一貫して外国人材の活用を積極的に行っています。今回は、外国人材を受け入れる理由から入社後の取り組み、目指すべき組織のあり方について代表取締役の宮﨑様にお話を伺いました。日本人にこだわっていたら優秀な人材は採用できないまず、特定技能外国人を受け入れたきっかけを教えてください。宮﨑社長:人手不足というのと同時に「日本人だけで良いのかな?」みたいなことを思っていたのもあり、もう9年くらい前から留学生のアルバイトの採用を始めていました。ベトナム人を中心に働く意欲の高い方が何十名も来てくれるような状況を作れていたので、その延長線上で特定技能もどんな人材が来るのか試してみようとなりました。「日本人だけで良いのかな?」というのは、インバウンド対応を見越してということでしょうか?宮﨑社長:それもありますが、日本人にこだわっていたら優秀な人材を採用することができないのではないか、という観点ですね。例えば、今、日本で働いてくれている外国の方は、自分の母国語に加えて日本語が話せるわけですよね。逆のことができる日本人って多くないと思うんですよ。二か国語を話せる、少なくともそのための努力を異国の地でしている外国人と自国で母国語でしか働けない日本人。本当に優秀で意欲のある人材を採用したいとなった時に、「日本人だけに限定するのは機会損失でしかないのでは?」ということです。9年前から留学生のアルバイトを受け入れられていたということで、特定技能外国人の採用に不安はなかったでしょうか?宮﨑社長:そうですね。留学生のアルバイトでも人間関係などのトラブルは経験済みですし、日本人でもトラブルはあるので、特定技能だからといって不安はありませんでした。ただ、費用面の懸念はありましたね。支援委託費という形でランニングでお金をずっと払ってというのは初めてだったので。実際に受け入れてみていかがですか?宮﨑社長:実際に人手を確保できたことで、私や日本人の役員が現場に入らなくて良い状況を作ることができたのは間違いなく外国人材の活用を推進したからです。働きぶりも真面目だし、頑張って働くし、稼ごうとするし、ということで助かっていますね。日本語でのコミュニケーションは課題にならないでしょうか?宮﨑社長:日本語のコミュニケーションも問題なくできています。まあ、わかっているといっても3、4割は理解が曖昧な部分はありますが。ただ、彼らも「わかってるぞ」って顔をしないと認めてもらえないと思っているところはあるので、そこは尊重した上でコミュニケーションを組み立てています。採用の際は、どのような基準で選考をされているのでしょうか?宮﨑社長:採用基準は、やる気っていうか熱意ですね。正直、実際に働いてみてもらわないとわからないんですけどね。あと、休みとか日報やラーメン店の食べ歩きレポート提出に関するルールを定めているので、そういうルールを守れるかというのは重視しています。食べ歩きのレポートというのは日本人社員にも課されているのでしょうか?宮﨑社長:はい、もちろん。それをやらないと、ただ家と職場を往復するだけの作業員になってしまうと思うんですよ。 考える機会がないというか。そうではなくて、飲食店の一通りの業務、仕込みをして、営業して、片付けしてっていう流れがわかった時に「じゃあ次こういうことやろう」とか「もっとこう良くしよう」というのを主体的に考えられる人を増やしたいんです。そのための気付きや刺激を得てほしくて食べ歩きレポートは実施しています。そこで考えられる人はマネージャーとか店長になれるし、大変だってグダグダ言いながら何もやらない人は、もういつまでも作業員でどうぞっていう話ですね。 その人生の選択、これからのキャリアが沈んでいくか広がっていくかっていう分かれ道が、実は日々の習慣に含まれてるんですよっていうことに気付いてほしいですね。摩擦を恐れず、違いを議論しあえる寛容な会社へ特定技能外国人を受け入れて、現場から不平や不満はでていないでしょうか?宮﨑社長:いえ、現場からも外国人材受け入れに対する文句は上がってこないですね。まあ、仮にあったとしても、私からしたら「自分のせいじゃないの?」と思いますけど笑。基本的に他人や環境のせいにする人間は成長できないと考えています。そんなことしても何も変わらないですから。仮に、マネージャー層が、外国人材と一緒に働くのが大変だからって避けていたら、マネージャー達自身が現場に入らないといけなくなるだけじゃないですか。そうなるといつまで経っても今以上の発展は望めない。そうではなくて、メンバーがうまく仕事をできないのであれば、マネージャーとして育成方法やコミュニケーションの方法を変えていってチームとしての成長を目指してほしいです。自分に矢印を向けて、自分が何ができるのかを考える。自己変容しながら、どう今の環境を変えていくかっていうことでしかないんですよね。それは受け入れる日本人側だけでなくて、特定技能外国人の方にも言えることです。「この従業員と一緒に働きたくない」とか「この上司が嫌だ」とか文句を言う方もいますけど、どの会社に行ったって合わない人はいるでしょう。例えば、将来、ベトナムで飲食店をやりたいというゴールがあるんだとしたら、その嫌な上司や同僚はゴールに辿り着く上で本当に障害なのか?って考えてほしいんです。ゴール、山の頂上が見えてるのに石ころにつまずいて、石ころで大怪我したって騒いでいたらもったいない。その程度の山ならもう下山しろよって話です。私も独立前の会社員時代に嫌いな人いっぱいいたし、喧嘩もたくさんしましたよ。でも、人生の一瞬、3年なのか1年なのかわからないけど、「この嫌な人は自分を鍛えてくれる何かの試練だ」と思って、嫌な人と一緒に過ごす自分って設定で頑張れば良いんです。日本人も外国人も自責の姿勢がある程度必要ということですね。一方、弊社のような登録支援機関に求めることはありますか?宮﨑社長:正直、どの会社でも紹介してくれる人材はあまり変わらないかなと思っています。人材も複数の紹介会社と繋がっているはずなので。そうなると、結局、営業担当者の熱意とか費用になってきますね。採用にかかるコストは下げたいので、「10名採用するならディスカウントします」みたいな柔軟性は欲しいです。ただ、やはり、特定技能の場合、入社後の支援もあるので、フォローの手厚さで差はでてくると感じます。その点、リフトさんは担当者の方が人材との面談や書類の管理をかなりしっかりしてくれるので、選んで良かったなと思っています。 ありがとうございます。最後に、今後、特定技能を活用してどのような組織を作っていきたいとお考えですか?宮﨑社長:今後、海外も含めて新しい店舗を作っていくのであれば、やはり主体的に動ける社員が絶対必要なので、特定技能の方には期待をしています。外国人材を受け入れると文化や価値観の違いで間違いなくトラブルも増えますが、それを受け入れられる寛容な会社にしていきたいです。価値観が多様になればなるほど、摩擦やトラブル、会社を1つにまとめ上げる難しさみたいなことがでてくると思いますが、それを許容していくということでしょうか?宮﨑社長:「摩擦が良くないことなのか?」「簡単に進むこと、とんとん拍子に行くことが良いことなのか?」という話です。 摩擦が起きて議論して「俺はこうだ、俺の国だとこうだ」って、例え喧嘩になっても、「そうなんだ、お前の国だとこうなんだね。うちだとこうなんだよ」「わかった。じゃあ、それについては、これから配慮するね」って言えれば、理解が深まって良いじゃないですか。なんとなく表面的に付き合っているだけよりも、相互理解に努めてリスペクトし合える方が、メンバーの関係性が深まり、組織は活性化するはずです。私個人としても、日本にこだわってはいません。どうせ死ぬんです。いろんな世界のいろんな人と出会って、いろんな仕事ができたら面白いかな、と思っています。