建築物の骨組みとなる鉄骨の設置や補強作業、 鍛冶工事、本締め工事、そして耐震補強工事など、鉄骨工事全般に幅広く対応している株式会社貴大。ベトナム人技能実習生から始まり、今では、ベトナム、インドネシアから技能実習生と特定技能外国人を受け入れています。今回は、受け入れ前の課題や受け入れ後の効果について代表取締役の宇田川様にお話を伺いました。外国人材の加入で現場に活気が生まれた特定技能外国人を受け入れることにしたきっかけを教えてください。宇田川社長:主なきっかけは人手不足です。日本人の人口減少が加速する中で、建設業界、特に現場作業に従事したいと思う人が少なくなってきています。弊社では技能実習生も受け入れており、技能実習の満了後に特定技能に切り替えて継続して就労いただいています。技能実習ですと「技能移転による国際貢献」が趣旨のため、現場の温度感と乖離が広がってしまうので、人材不足解消を目的とした特定技能が開始されたことで運用がしやすくなったという印象があります。受け入れる前に不安はありましたか?宇田川社長:外国人を雇用するための知識や準備、運用が複雑であり、法令遵守や業務工数の観点で不安がありました。しかし、会社の将来を見据えて成長していくためには、この課題に立ち向かう必要があると考えました。技能実習であれば監理団体、特定技能であれば登録支援機関のサポートもありますので、今のところ問題なく受け入れが進んでいます。受け入れをして良かったことを教えてください。宇田川社長:外国人材を受け入れて良かった点は多くあります。まず、成果を出すことに積極的で、バイタリティー溢れる人物が多いという特徴がありますね。彼らの前向きな姿勢やエネルギーが、現場の活気を大いに高めてくれています。また、人材不足の問題が解消されました。これにより、業務の継続性が保たれ、生産性も向上しました。さらに、多様なバックグラウンドを持つ外国人材が加わることで、新しい視点やアイデアが生まれ、会社全体の成長にもつながっています。一方で、トラブルや苦労はありませんでしたか?宇田川社長:苦労したこともあります。まず、文化の違いや生活習慣の違い、そして言葉の壁です。これらの違いから、コミュニケーションがうまく取れずに誤解が生じたり、期待する働き方とのギャップが生まれることがありました。また、外で悪い友達と繋がってしまい、その結果として突然失踪てしまうというケースもありました。そういったトラブルへの対策はどうされているのですか?宇田川社長:まず、文化や習慣の違いを理解し尊重するための研修を行い、外国人材とのコミュニケーションを円滑にする努力をしています。言葉の壁に対しては、日本語教育の機会を提供し、日常会話や業務に必要な日本語の習得をサポートしています。また、日本人社員が外国人の雇用を軽く考える傾向があるため、外国人材の重要性とその育成の重要性について認識を深めてもらうための研修を行っています。外国人材が安心して働ける環境を整え、日本人社員との協力関係を築いていくことを目指しています。ただ、繁忙期には時間がないため、丁寧に教えることが難しく、つい厳しく接してしまうことがあるので、その点も改善するための方策を探しているところです。登録支援機関と協力して日本語力を高めていきたい受け入れを成功させるためには、どのような人材を採用するかも重要になってきますが、貴社が人材に求めることはなんですか?宇田川社長:「日本語力」と「協調性」ですね。これらの資質は、実際の業務において日本人社員とスムーズにコミュニケーションを図り、連携していくために必要不可欠です。現場での安全性や効率性を確保するためにも非常に重要ですね。日本語力については、日常会話だけでなく、専門用語や業務に関連する言葉も理解してほしいです。また、単に言葉を話す力だけでなく、相手の意図を理解し、自分の意見や状況を適切に伝える能力という意味でのコミュニケーション力が重要だと思っています。 これによって、現場での指示や連絡がスムーズに行われ、ミスやトラブルを未然に防ぐことができます。協調性については、チームの一員として協力し合い、共同で問題解決に取り組む姿勢を持ってほしいですね。登録支援機関のサービスについてはいかがですか? 宇田川社長:登録支援機関には、外国人材の日本語力を高めるための教育をしっかりと行ってほしいと考えています。 最低限のやり取りができる程度の日本語力がない場合、現場での作業がスムーズに進まないことがあります。入社時期によっては繁忙期で丁寧に教える余裕がないため、教育のサポートをしていただけると助かります。学習時間が限られていることは理解していますが、安全性を考えると、日常会話よりも現場で必要な言葉や単語を少しでも覚えてもらいたいと考えています。基本的な作業指示や安全に関する用語などですね。さらに、会社が教育の時間を確保できるように、登録支援機関には柔軟な対応をお願いしたいです。例えば、現場で使える日本語の集中講座を設けるなどの工夫があると助かります。このような対応を通じて、外国人材がより早く現場に適応し、安全かつ効率的に業務を遂行でき るようになることを期待しています。最後に、今後の外国人材受け入れの展望について教えてください。宇田川社長:外国人材のキャリ アアップを積極的に支援し、長く会社で活躍してもらえるような環境を整えたいと考えています。私たちは、彼らの夢や目標を実現するために、必要なサポートを惜しみません。ですので、外国人材にも仕事に真剣に取り組み、真面目な姿勢で業務に臨んでほしいと思っています。目指すのは、外国人材が自分の能力を最大限に発揮し、キャリアを築いていける職場です。具体的には、継続的な研修やスキルアップの機会を提供し、彼らの成長を後押しすることで、会社全体の成長にもつなげていきたいと考えています。異なる文化や背景を持つ人々が共に働くことで、多様性が生まれ、より豊かな組織文化が形成されると信じています。