東京の現場を中心に鳶工事業を展開する株式会社岩上建設。ベトナム人技能実習生から始まり、今では、ベトナム、インドネシアから技能実習生と特定技能外国人を受け入れています。今回は、日本語コミュニケーションの課題や登録支援機関に求めることについて代表取締役の岩上様にお話を伺いました。特定技能外国人を受け入れないと現場を回せない特定技能外国人を採用することになった背景を教えてください。岩上社長:人材が足りないっていうのがそもそもの理由です。こういう質問されたら、皆さん良いこと言うかもしれないけど、結局、人手があれば請けることのできる仕事が増えて、会社としてお金になるからっていうのはどこも一緒なんじゃないですかね笑。実際に特定技能外国人を受け入れてみていかがですか?岩上社長:ベトナム人もインドネシア人も国の隔たりはなく、皆さん、真面目です。ただ、日本語の壁は感じますね。例えば、現在、特定技能として働いているベトナムの方は、地方で技能実習生として働かれた経験が3年あるにも関わらず、会話がほぼほぼできないです。日本人だったら新人でも3年経てば、もう一人で現場に行ってもらえるのですが、日本語が苦手な外国人材だと難しいケースも結構ありますね。貴社で技能実習を満了して、そのまま特定技能に切り替えたベトナム人材は日本語レベルが高い印象があります。岩上社長:そうですね。それでもやはり、日本人と同じというわけにはいかないですね。給与は当然同等ですが。だから、弊社では、技能実習生だろうだろうが特定技能外国人だろうが、外国人材1人もしくは2人に対して日本人1人が面倒を見るというのを徹底しています。建設現場での外国人材の怪我や事故のニュースをよく耳にしますが、見きれてないんじゃないかなと思いますね。やはり、受け入れ企業が責任をもってマネジメントしていくべきだと考えています。日本人の採用はされていますか?岩上社長:ハローワークとジモティに求人を掲載しており、採用実績もあります。でも、建設業の働き手が不足しているのは強く感じます。そもそも日本の今の建設業が安すぎるんですよ。仮に給料を1日3万円とかにできれば、多分若い子でも少しは集まりが良くなると思います。でも、今の建設業の給料だとコンビニで働いても変わらないですから。それだったら、エアコンも効いてるし絶対そっちの方が良いですよね。あともう10年、20年したら日本人はもっといなくなりますから、 ベトナムなのかインドネシアなのか、はたまた違う国なのかは分からないないですが、いずれにせよ外国人材に頼らないと現場が回らないのは間違いないです。特定技能外国人だけでなく技能実習生も受け入れられていますが、今後の採用戦略はどうお考えですか?岩上社長:これからは、技能実習ではなくて特定技能での受け入れを中心に考えています。技能実習制度の趣旨である「技能移転による国際貢献」は有名無実化していますから。それであれば、人材不足解消のための在留資格である特定技能の方が活用しやすいです。その中でも既に日本国内で建設業の経験のある人材が採用できたら嬉しいですね。海外からの受け入れですとコストも時間もかかりますし、日本での経験がある方が安心して採用できます。経験以外だと、どのようなところを面接でチェックしていますか?岩上社長:まじめで責任感の強そうな人を選んでいます。ただ、面接は博打です。技能実習の面接なんて嘘というか、そもそも基本情報とかが違いますから。「料理できます」と言っていて全然できないとか、「酒も煙草もやりません」と言いながら実際はお酒も飲んで煙草も吸うとか。別に悪いことじゃないんだから最初から言ってくれれば良いのですが。あと、そんな博打で採用した人材が頑張ってくれていても、家族の都合で結局帰国しなくてはいけないとかあるので、できるだけ長く定着してもらうために配偶者や子供がもっと日本に来やすく、生活しやすくなるように制度を変えてほしいです。受け入れ後に1番苦労してるところはやはり日本語でのコミュニケーションでしょうか?岩上社長:そうですね。人によっても違いますが、些細なことが伝わらないとかはどうしてもでてきてしまうので、日本人側にも覚悟が必要です。優しく言ってるんだけど、その「優しく」が相手には伝わっていない可能性もあるので、コミュニケーションは本当に大変です。煩雑な事務作業を助けてくれる登録支援機関が必要現在、登録支援機関と監理団体あわせて3社とお付き合いされていますよね?登録支援機関などを選ぶ際にも日本語教育支援の手厚さを重視されますか?岩上社長:はい。日本語と生活習慣の教育が一番。人材側の意欲や能力もあるから難しいとは思いますが。あと、給与計算とか書類とか事務作業の手間を減らしてくれるところが良いです。弊社の場合、社長の私が現場にも出ており、事務だけをやっているわけではないので、時間をかけられないんですよ。お付き合いする登録支援機関が増えすぎると請求処理など対応が煩雑になってくる面もあるので、今後は、一社に絞っていこうと考えています。リフトの支援サービスはいかがですか?岩上社長:特定技能ですと、四半期に一回の定期報告で「受入れ・活動状況に係る報告書」や「特定技能外国人の受入状況・報酬の支払状況」などを受け入れ企業が出入国在留管理庁に届け出ないといけないのですが、リフトの担当者は、どこに何を記載すれば良いのかということまで細かく教えてくれるので助かっています。今後の外国人材活用について考えていることを教えてください。先程お話したように、既に日本にいらっしゃる特定技能外国人の採用を中心に組織を組み立てていきたいです。あとは、制度の問題もありますが、本当に弊社で活躍している人材の家族の呼び寄せや生活がしやすくなって、できるだけ長く働いてくれると嬉しいですね。